東映YouTubeで配信中の宇宙刑事シャイダーが最終回を迎えましたので全体を通しての総括を
宇宙刑事シャイダーは宇宙刑事シリーズ3作目ということで新たな試みが行われましたがなかでも主人公の沢村大を演じるのが前作の渡洋史さんや前々作の大葉健二さんのようなJAC所属のアクション俳優ではなくあのゴジラやウルトラマンを作った円谷英二監督のお孫さんである円谷浩さんが演じられました、そのため最初はアクションが不慣れで吹き替えを使うことも多かったですが徐々に自らアクションをこなすようになりました。また沢村大という役柄が訓練途中で地球に派遣された未熟な宇宙刑事ということもあり円谷浩さんも劇中の沢村大同様成長していったと言えるでしょう。惜しくも2001年に37歳の若さで亡くなられてしまいましたが私達の心の中にはいつまでも沢村大が生き続けてることでしょう。
それと宇宙刑事シリーズには欠かせない女性パートナーですが本作は主演の円谷浩さんがアクション俳優ではないためパートナーのアニー役にJAC所属の森永奈緒美さんが起用されミラクラーやギャル軍団相手に大胆にパンチラした激しいアクションが披露されました。ちなみに森永奈緒美さんはシャイダーから2作後の時空戦士スピルバンでヘレンレディに結晶しており言うなればついにアニーにコンバットスーツが与えられた瞬間であると言えます。
本作の敵である不思議界フーマはそれまでの宇宙犯罪と異なるところとして組織全体が一枚岩でまとまっているところです、それまでの宇宙犯罪組織はマクーにしろマドーにしろ必ず内輪揉めがありましたがなかでもマドーは終盤は軍師レイダーがマドー乗っ取りを画策していたくらいですがフーマに関しては皆大帝王クビライの名の下に一致団結していた印象があります(唯一ヘスラー指揮官の弟のヒムリーが来た時はちょっとした内輪揉めみたいなことはありましたが1話であっさり解決してます)またフーマは地球を直接攻撃するのではなく人間の心に悪の心を植え付けてフーマに忠誠を誓う作戦を数多く実行しました、これは大帝王クビライが1万2千年前ムー帝国の支配者だったことから地球が大帝王クビライにとって聖地であり美しいオパールのような星である地球を無傷で支配するために神官ポーが提案したからでもあります。このようにフーマは人間達にフーマの教えを植え付けようとしたことから考えても宗教団体的な要素を持っており実際フーマがあれだけ一枚岩な組織なのは大帝王クビライという教祖に心酔した信者達の集まりだったからだとも言えます(実際大帝王クビライがシャイダーに倒された歳は宇宙各地で暴れ回っていたフーマの軍勢が動揺して形勢逆転されたぐらいです)そう考えるとフーマは90年代社会問題になったオウム心理教の先駆けかもしれません。
なかでもフーマで一番印象深いのがこの神官ポーで演じてる吉田淳さんはれっきとした男なのですが口調といい見た目の雰囲気といい男とも女ともつかない(ましてやオカマでもなく)どことなく中性的な印象を与えます。また神官ポーは大帝王クビライの孫でもありフーマの大半の作戦は神官ポーが立案したものでもあります。最後は大帝王クビライが倒されたことでエネルギーが与えられなくなり元の醜い顔となって珍獣達と共に不思議界へ消えていきました。余談ですが神官ポーを演じた吉田淳さんは後に仮面ライダーBLACKではポーとは全く正反対のバリバリの武闘派キャラである剣聖ビルゲニアを演じておりポーとは全く印象が異なっていましたね。
宇宙刑事シリーズ全体の総括としてはまずコンバットスーツという近未来的なメタリックスーツの発明とビデオ映像をふんだんに使用した独特な異次元空間が従来の特撮ヒーローにはない発明を生み出したと言えます。また宇宙刑事シリーズは超次元戦闘母艦や超次元戦車、異次元空間に突入する際のマシンといった数々のメカニックの活躍が印象的でした、なかでもグランドバースのバトルバースフォーメーションやバビロスのシューティングフォーメーションは一度見たら忘れられないと思います。また宇宙刑事シリーズにはそれぞれサイドストーリーがありギャバンは行方不明になった父ボイサー探し、シャリバンはイガ星の再興、シャイダーは戦士シャイダーとムー帝国の秘密や銀河連邦警察誕生のルーツが展開されました。こうした様々な挑戦をした宇宙刑事シリーズは次回作の巨獣特捜ジャスピオンではさらに宇宙を股にかけた冒険活劇という形でさらにパワーアップし時空戦士スピルバンまでコンバットスーツ路線のヒーローが続いていくこととなります。また今も映画やVシネマで二代目の宇宙刑事が活躍しており更なる活躍に期待が膨らみます。
宇宙刑事シャイダーはSDヒーロー総決戦倒せ!悪の軍団にも登場しており大帝王クビライも不思議宮殿ステージでメカ胴体を付けた状態でボスとして登場しています。